産前 産後の症例

妊娠中、産後こそ鍼灸を利用していただきたいと思います。マイナートラブルに対応できます。ここではそんな症例を上げていきます。

7.座ろうとする際にぴきっと痛みが走る腰痛

#妊娠腰痛 #臀部~股関節にかけての痛み

症状:妊娠22週あたりから 動き始めに臀部の痛みを時々感じていた。24週から 特に椅子に座ろうとする際に右の臀部にぴきっと痛みが走ることが多くなっていた。最近朝方に右のふくらはぎも良く攣(つ)るようになった。

元々妊娠前から腰痛は右に出やすい。

施術: 当初は椅子に座ろうとする際に臀部全体※青印に痛みを感じていた。足の動きをみると股関節の内旋をする(内股にするよう動かす)と痛みがが増強するので それに対応するすねにあるツボとふくらはぎのツボを使った。そうすると痛みが走る方向が縦に(背中の方に※赤印)放散するようになった。

とこちゃんアンダーベルトを右股関節をやや回外(ガニ股気味)するように固定すると痛みは消失した。

まとめ:痛みが変化したようにみえるが、広範囲にあった痛みの原因がクリアになったものと考え、対応した。右股関節の動きが制限されていて臀部に痛みが起きており、さらにベルトで改善されたことからゆるみも伴っていたものと思われる。

妊娠週数が進むと 股関節含め骨盤周りが緩みやすくなるうえ、腹部が大きくなってくると重心が変化し負担がかかり元々弱かった右股関節に集中したものと思われます。

6.点滴と併用したつわり

#吐きつわり

20211101

症状:七週~つわり症状出てきて波がある。吐きつわり、食いつわり。経産婦

調子悪い時は頭痛や体のだるさ 肩こりが辛いと感じる。すでに3-4㎏減 

上の子二人とも妊娠初期に同様のつわりがあった。薬や病院へはなるべく頼りたくない。

施術: 一診 9週+2日 パンと果物は食べれている。夕方に症状が悪化する。肩こり 特に左側が極端に盛り上がっている 喉の詰まり感あり。座っているだけでだるくなる腰痛あり。

まずは肩こりと腰痛のツボを取り 体のコリやゆがみを取ると それだけで体が楽になったと感じてもらえた。背中のコリ部分が残ったところには針付きのテープで対応した。 当日午後LINEでむかつきなく久しぶりに普通に食事の量がとれたと報告をいただけた。

二診~三診 9週+4日~つわりはえずくことがあるが吐いてはおらず食べれてはいる。腰痛は腰を反らす時に痛む。こめかみの頭痛あり。便がすっきりしない。

肩と首の頭痛の原因となっているであろう肩と首のコリをほぐすツボを使用した。腰痛は足のすねにあるツボで痛みなく動かせるようになった。食事量増えたことで便も量が増えてきたがすっきりしないとのことで便秘のツボも追加した。鍼受けた後は楽になるので 9週+6日に来院し同様の施術する。

四診 10週+3日 ここ数日多忙で 疲労感および体と足の冷え感強くなる。つわりも嘔吐と倦怠出てきた。胃痛も自覚あり。

嘔吐のためみぞおち付近の筋肉痛があり また頭痛もあるため対応するツボを使用した。体全体の冷えもあり お灸をすると気持ちよい。

五診 11週+3日  二日前から吐いて水も飲めていない。尿の回数も一回量も減っている。皮膚や口唇の乾燥も見られ体重は6kg減になった。 

施術後すぐに病院受診を勧める。点滴で尿が出始めたら症状は落ち着いたと連絡があった。

まとめ: 薬や病院にはなるべく頼りたくないとのご希望でして頻回に来てもらって効果が出ていましたが 通えない間に悪化してしまいました。

脱水症状は放置すると一気に悪化しますので やはり点滴なども併用してうまくつわりの波を乗り越えていくことも必要です。

水分が取れている間でしたら鍼灸だけでの対応は可能です。

5. 右の股関節痛

#妊娠中の股関節痛 

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症状:  二週間前より右股関節痛が出てきた。 朝起きた時から股関節周りが痛む。動き始めがつらい。動いてしまうと痛みは治まってくる。立位で サッカーボールを左右に蹴るような動作  正座する際に足首を外側にする動作で痛む。

施術: 一診 19週+2日 椅子から立ち上がるのがやっとなので 動きを確認したあとにベッドに座ったまま膝と足にあるツボを使いました。 また 動き始めの痛みに対しては 夜にもとこちゃんベルトを使ってもらうようにしました。施術後は少し歩幅が広がった感じがする、左足に重心が載せられるようになったとの変化を感じてもらえました。

二診 20週+0日 翌日には朝の起きがけの痛みが軽減し さらに二日後には残っていた痛みもほぼ消失したとのことでした。 

まとめ: また同じ症状を繰り返さない様に、ご本人とともに原因をしっかり見極めるようにしました。 妊娠してから 床に座り右足はあぐらのように膝を床につけ、左足は立膝にして過ごすことが多かったそうです。知らず知らずのうちに右股関節に体の重みが集中していたのではないかと推測されました。

妊娠中は同じ姿勢をとり続けていると 同一箇所が圧迫されていたり、長く筋肉に負荷がかかった状態が続くと時間差で痛みが出てくることがあります。現在はそのような姿勢はしていないものの 同一の姿勢を長く続けない様にするのと こまめに体を動かしていくように確認いたしました。今回は一回で改善が見られたのですが 妊婦さんは一度痛めてしまうと回復に時間がかかったり またお腹が大きくなることで体のバランスがが変わり 新たな個所の痛みが出てきたりするので 予防が大切ですし早めの対応が必要です。

 

4. 腰痛と大腿前面のしびれ感とピリピリ感

#妊娠腰痛 #大腿前面のしびれ感とピリピリ感 

三診時の症状

症状:大腿前面の痛み(ピリピリ感)と 同時に麻酔にかかったような、触られた感覚が鈍いしびれ感。動きはじめや 歩行している時に痛みを強く感じるが 安静時も同様でここ一週間辛くなってきた。コロナの影響で 自宅であまり動かずソファに座っていたり 寝ていたりすることが多かった。

 

 施術: 一診  26週+1 大腿前面を触ってみても著明な冷えや筋肉の張りなどはないのですが 腰とふくらはぎに緊張が見られました。 腰と、ふくらはぎを緩める鍼をすると帰る頃にはしびれ感は軽減してきていました。腰痛は腰を前に倒すと痛むので 足のツボに鍼をすると倒しやすくなりました。

自宅で過ごす姿勢などを確認して 腰に負担をかけない姿勢などをお話しました。 

 

ニ診:  26週+3日 安静にしていたり、歩くと痛みは無くなっている。しかしまだ歩き出した際のピリピリ感だけは持続。腰は ものを取ろうと手を伸ばした時に痛むとのことでした。  前回と同様のツボの他に背中のツボを追加しました。また 動き出す際にはゆらゆらと手足の関節から動いていくようお話しました。

 

三診: 27週+2日  しばらく調子よかったが 二日前からまたピリピリしているのだが膝上に限定してきている。ふくらはぎにあるツボを使う。

腰は尾てい骨が痛くなったとのことで、付近の緊張を緩めるツボを追加した。再度姿勢についてお話を追加する。

 その後確認すると 自宅でも姿勢に気をつけて過ごしているので症状は無く快調であるとのメールをいただけた。

 

 まとめ: 妊婦さんは同一姿勢を長時間していると筋肉の柔軟性が失われ動かす際に痛みを伴うことが多い。また安静にしすぎると筋力が衰えやすい。

この方は自宅のソファでスマホを見ていることが多く 背中を丸め首を前傾させ 背をソファに持たれかけさせ仙骨や腰椎に重みがかかったまま過ごしていた。そのため腰痛や尾てい骨に症状が出たものと思われます。 またソファのひじ掛けに頭をのせ 横向きで寝たりしていた。そのためくの字になった脊椎や腰部の筋肉に負担がかかり関係する大腿に症状が出てきたものと思われます。

正しい座り方や過ごし方で 腰痛は予防できますが もし痛めてしまった場合は早めに施術を受けられることをお勧めします。お腹が大きくなればより腰にかかる負担も大きくなります。

3.みぞおちの不快感から始まり、喉の詰まり感に移行したつわり

#むかむか #吐き気 #みぞおちが辛い #梅核気(喉のつまり感) #経産婦

症状:8週からつわりが出てきた。来院時はムカムカ感、吐き気 おう吐の症状がある。水分、食事は少量ずつ取れてはいるが体重は3kg減った

施術:一診 10w+2d  みぞおちあたりが一番気持ち悪い。こみ上げてくる。

みぞおちの緊張を取るため足のツボを使うと その部位が少し和らいでおり、「うくっ」とこみ上げる音が施術後に聞かれなくなりました。

二診 10w+6 d ムカムカする時間は減ってきたとのこと。自覚は同様なので前回の施術と 胃に関連するツボを追加しました。

三診 11w+5d 少し食事量も増えてきた。

こみ上げる感じは無くなったが 今はのどに詰まり感あり 咳払いしても取り切れなくて不快とのことで 腕にあるツボを使用しました。

四診~12W+5D のどの詰まり感もほぼ無くなり 朝方に少しむかついた程度で食事や水分は初診時よりはとれるようになってきたとのこと。この時点で施術の終了も提案しましたが前回の妊娠時も15週まで続いたとのことで 念のため定期的に通って来ていただいた。

まとめ:つわりは胃の周辺に反応あることが多くこの方も胃の上部付近に緊張がありました。そこが緩和されると次は喉の詰まり感が出現してきた。これは一番つらい胃の症状が楽になったことで表立ってきたものでしょう。これは「梅核気」という症状で ストレスなどが原因といわれ、物が呑み込みづらい、痰が絡んだ感じで 咳で出そうとしても出ない症状ですが これにつわりが重なると長引く一因と考えられます。この症状を緩和できたことで早期に解消できたと思われる例。

ちなみにストレスの原因と思われることはないかをお聞きすると最近上の男の子が赤ちゃん返りをはじめ とても手がかかって 体調の悪さもあってイライラすることが多いとのことでした。

2.さかごとともにアトピーの施術をした例

#妊娠34週 #アトピー(発赤) #さかご #初産婦

来院時の皮膚の状態

症状:もともとアトピーではあったが ここ2~3年は落ち着いていた。妊娠してから再発した。当院へは逆子のため来院したが 妊娠中は薬も使えず困っているとのことで同時に治療希望。鼻炎などの他のアレルギー症状は出ていない。顔以外の皮膚の乾燥 発赤(特に関節) 痒みは時折出るが冷やすと落ち着く。

1診 背中と肘のツボに置鍼 特に肘のツボに打つと上半身の赤味がさーっと引いていき本人も心地よく感じた。

2診(一週間後) 前回の治療後より全体の発赤は薄くなった。痒みはこの一週間はない。乾燥は肘と背中の一部のみ。
3診(一週間後) 逆子は治っていました。本人希望により肘に残っている部分と安産の鍼を受けたいとのことで継続して来院していただく。
同時に治療した症状:逆子
まとめ: 妊娠して子供の方に血が消耗され、皮膚には行きわたらずかつ停滞したために症状が出たと思われる例。血行を良くするツボを使用するとすぐに改善した。(2008/8例)

※症状 効果には個人差があります。

1.お腹をかばって腕で踏ん張った後の肩の痛み

30週+3日 寝違えたような痛み

来院時の症状

症状:前日歩道橋を下りている時に足を滑らせ とっさに手すりにつかまったが右お尻を打ってしまった。お尻の痛みはその時だけであったが、今朝になって寝違えた様に首が動かせず 痛みもある。首を左右に傾げることや向くことができない、首を後ろにそらせない。頭痛もある。腕も動かしづらい。妊婦なので薬は使いたくないという事で来院。

治療:一診:首~肩甲骨の間の背骨にかけて反応があり それに対応する手と足のツボを打つと七割くらい首を動かせるようになってきた。肩のツボで左肩の動きは一気に良くなったが まだ首を左斜め下を見るような動きをすると首に違和感出るので 再度手足のツボを使うと九割は動くようになった。一週間後に来院の際確認すると 症状は午後には消失したとのこと。

まとめ:妊婦さんなのでお腹を守ろうとして手すりにつかまったために 腕~肩~背ににかけて一気に力が入ったと推察できる。お尻を打った刺激も背中にまで影響を及ぼし 首が回らないという状態として現れたものと判断した。首の症状は首のツボをとつい考えるが原因の背中を治すことで改善が図られた。

発症してすぐに来院していただいたので一回の施術で症状が無くなった。(※症状 治療 効果には個人差があります)